投稿日:2021.09.10 最終更新日:2024.07.09
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石塚 由紀 税理士
大学院卒業後、2009年に国内大手税理士法人の東京本社に入社し、26歳で税理士資格を取得。2011年には同税理士法人の福岡事務所に異動し、相続税申告、事業承継コンサルティング、上場企業対応、国際税務等、幅広い業務を経験し、セミナー講師や共著出版なども行う。 2016年に税理士法人アイユーコンサルティングに参画し、強みである資産税の知識を活かして相続・事業承継を中心としたコンサルティングを行う。ご家族の想いを第一に、遺産分割や生前対策のアドバイス、組織再編のご提案などお客様に満足いただける付加価値の高いサービスを提供。 2018年に娘を出産し、現在は仕事と子育ての両立に奮闘中。より広い視野をもち、信頼できる親しみやすい税理士を目指している。
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相続の割合は相続順位によって変わる
遺産は「法定相続分」と呼ばれる民法で定められた相続割合を目安に分割するケースが一般的です。法定相続人が誰かによって法定相続分も異なります。また、法定相続人には順位がある点にも注意しましょう。ここでは、相続順位や順位ごとの相続割合の他、代襲相続の考え方について解説します。
相続順位とは?
法定相続人の順位は民法で定められています。先順位の法定相続人がいれば、後順位の方に相続の権利は発生しません。なお、被相続人の配偶者は、常に法定相続人です。法定相続人の順位は、第1順位が直系卑属(子や孫)、第2順位が直系尊属(父母や祖父母)、第3順位が兄弟姉妹です。
例えば、被相続人に配偶者と子がいれば配偶者と子、配偶者や子がなく父母が存命であれば父母が法定相続人となります。
民法で定められた相続の割合が「法定相続分」
法定相続分は、法定相続人が先述の相続順位のどのグループに属するかによって変わります。
・法定相続人が「配偶者と子」の場合、配偶者が1/2、子が1/2
・法定相続人が「配偶者と直系尊属」の場合、配偶者が2/3、直系尊属が1/3
・法定相続人が「配偶者と兄弟姉妹」の場合、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4
同じ順位の法定相続人が2人以上いる場合は、その人数で按分します。例えば配偶者と子2人が法定相続人のケースでは、法定相続分は配偶者1/2、子がそれぞれ1/4ずつです。
代襲相続が発生すると相続割合が変わることがある
代襲相続とは、すでに亡くなっている法定相続人に代わって、その人の子や孫が相続人となることです。法定相続人が子であれば代襲相続は子孫が続く限り続きますが、兄弟姉妹の場合、被相続人の甥・姪までです。
代襲相続により法定相続人の数が変わることで、相続割合も変わるケースがあります。例えば、被相続人に配偶者と子2人がいるケースで考えてみましょう。子のうち1人が亡くなっていれば、法定相続人は配偶者と存命している子の2人で、子の相続割合は1/2です。ただし、亡くなった子に子(被相続人の孫)がいて代襲相続する場合、存命している子の相続割合は1/4になります。
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【ケース別】相続割合の具体的な計算例
上記のとおり相続が発生した時点の家族構成によって、法定相続人は異なります。自分が法定相続人になった場合、どの程度の割合を相続できるのか気になる方もいるでしょう。ここでは、主なケース別に具体的な相続割合の計算例について解説します。
配偶者と子が法定相続人のケース
【被相続人と妻の間に子が2人いるケース】
《詳細》
・家族構成:被相続人、妻、子A、子B
・課税遺産総額は3,000万円
《計算式》
妻:法定相続分1/2 3,000万円×1/2=1,500万円
子A:法定相続分1/2×1/2=1/4 3,000万円×1/4=750万円
子B:法定相続分1/2×1/2=1/4 3,000万円×1/4=750万円
【被相続人と妻の間に子が2人、子の1人に代襲相続が発生しているケース】
《詳細》
・家族構成:被相続人、妻、子A、子B
・遺産は3,000万円
・子Bは被相続人より前に亡くなっている
・子Bには子が3人いる(孫C・孫D・孫E)
《計算例》
妻:法定相続分1/2 3,000万円×1/2=1,500万円
子A:法定相続分1/2×1/2=1/4 3,000万円×1/4=750万円
孫C:法定相続分1/2×1/2×1/3=1/12 3,000万円×1/12=250万円
孫D:法定相続分1/2×1/2×1/3=1/12 3,000万円×1/12=250万円
孫E:法定相続分1/2×1/2×1/3=1/12 3,000万円×1/12=250万円
配偶者と父母が法定相続人のケース
【被相続人と妻の間に子がおらず父母が法定相続人になるケース】
《詳細》
・家族構成:被相続人、妻、父、母
・遺産は3,000万円
《計算例》
妻:法定相続分2/3 3,000万円×2/3=2,000万円
父:法定相続分1/3×1/2=1/6 3,000万円×1/6=500万円
母:法定相続分1/3×1/2=1/6 3,000万円×1/6=500万円
被相続人の両親のうち、どちらかがすでに亡くなっている場合、妻が2/3の2,000万円、親が1/3の1,000万円を相続します。
配偶者と兄弟姉妹が法定相続人のケース
【被相続人と妻の間に子がおらず兄弟が2人いるケース】
《詳細》
・家族構成:被相続人、妻、兄、弟
・被相続人の両親はすでに亡くなっている
・遺産は3,000万円
《計算例》
妻:法定相続分3/4 3,000万円×3/4=2,250万円
兄:法定相続分1/4×1/2=1/8 3,000万円×1/8=375万円
弟:法定相続分1/4×1/2=1/8 3,000万円×1/8=375万円
【被相続人に配偶者がなく兄弟姉妹が相続するケース】
《詳細》
・家族構成:被相続人、兄、弟
・被相続人には配偶者がいない
・被相続人の両親はすでに亡くなっている
・遺産は3,000万円
《計算例》
兄:法定相続分1/2 3,000万円×1/2=1,500万円
弟:法定相続分1/2 3,000万円×1/2=1,500万円
被相続人に配偶者がいない場合、遺産の全額を法定相続人で均等に分けます。上記のケースは兄弟姉妹が2人であるため、相続割合は1/2ずつです。
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相続割合は自由に決められる?
法定相続人の全員による合意があれば、相続割合は任意の割合で自由に決められます。ただし、相続財産を極端な割合で分けると「遺留分」が問題となるため、注意が必要です。ここでは、任意の相続割合について解説します。遺留分や2割加算といった相続割合を決める際の注意点にも焦点を当てました。
遺言書があれば原則遺言通りに財産を分ける
被相続人の遺言書がある場合、原則として遺言が優先されます。また、全ての法定相続人の合意のもと、遺産分割協議によって遺言書の内容とは異なる分割も可能です。「遺言書通りに相続すると、納税資金分の現金が足りない」といった異議がある法定相続人がいれば、遺産分割協議で調整しても構いません。
遺産分割協議によって任意の相続割合で財産を分けられる
遺言書がない場合、遺産分割協議によって相続割合を決定します。相続割合は、必ずしも法定相続分でなくても構いません。なお、遺産分割協議は法定相続人全員が参加する必要があり、法定相続人のうち1人でも遺産分割の内容に反対していれば無効になります。
任意の相続割合を決めるときは遺留分に注意!
任意の相続割合を決める際に注意しなければならないのが「遺留分」です。遺留分とは、民法で定められた特定の法定相続人が最低限保障される相続割合を指します。遺留分を請求する権利があるのは、法定相続人のうち配偶者と子、直系尊属で、兄弟姉妹は該当しません。
遺留分は、遺留分の権利を持つ者全体で遺産の1/2(相続人が直系尊属のみの場合は1/3)です。全体の遺留分を、権利を持つ者の法定相続分で分割することで遺留分割合が決定します。
遺言書や遺産分割協議で「全ての財産を○○が相続する」といった極端な配分にすると、遺留分が問題になることがあるため注意しましょう。
相続する人によっては相続税額が2割加算される
兄弟姉妹や甥・姪が相続する場合、相続税額が2割加算されます。他にも、被相続人の養子である孫(代襲相続人を除く)も2割加算の対象です。該当者が相続財産を受け取るときは、相続税額が2割増額されることに注意しましょう。
相続税が2割加算される理由は次の通りです。
・兄弟姉妹が相続財産を受け取ることは偶然性が高いため
・孫への相続は「子から孫」の相続を一代飛ばし、相続税を免れることにつながるため
なお、2割加算の対象であっても代を飛ばして遺産を相続するほうが有利になるケースもあります。判断に迷う方は専門の税理士に相談するとよいでしょう。
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できるだけ相続税を安くしたいならアイユーコンサルティングへ!
遺留分や2割加算といった専門知識がないまま遺産を分割すると、間違った相続税申告につながりかねません。また、誤って高い相続税を納付してしまう恐れもあります。税理士法人アイユーコンサルティングは相続に特化した「相続のプロ集団」です。相続税を安くしたいのであれば、ぜひアイユーコンサルティングにご相談ください。
二次相続を意識した遺産分割でトータルの相続税を安くする
父母と子という家族で、父母のいずれかが亡くなったときに生じる相続を「一次相続」、残された親が亡くなって子が財産を受け取る相続を「二次相続」といいます。一次相続で相続税対策をして相続税が安く済んでも、二次相続と合わせると子の相続税負担が大きくなる恐れがあります。
アイユーコンサルティングが実際に扱った事例では、一次相続の相続割合を考慮することでトータルの相続税額が2,000万円以上減りました。相続税の制度上、配偶者が取得した財産には税額軽減の特例がありますが、適切に使わないと思わぬ税負担が生じるケースがあります。事前に二次相続までシミュレーションし、慎重に遺産を分割しましょう。
相続に特化した税理士による相談が初回無料で受けられる
アイユーコンサルティングでは、相続に特化した税理士による相談が初回無料で受けられます。土日祝日や平日夜でも相談が可能で、平日昼間は忙しいという方も安心です。
相続税申告には期限があり、相続が発生してから10か月以内に申告しなければなりません。アイユーコンサルティングは資産税(相続税や贈与税)業務を中心に、お客さまに最適なサービスを迅速に提供します。
顧客満足度調査では、利用したお客さまの98.29%以上が満点評価です。「相続に強い税理士だからこそ、的確なアドバイスや相続税申告ができる」との声もいただいています。
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まとめ
法定相続分と呼ばれる相続割合は次の通りです。
・法定相続人が「配偶者と子」の場合、配偶者が1/2、子が1/2
・法定相続人が「配偶者と直系尊属」の場合、配偶者が2/3、直系尊属が1/3
・法定相続人が「配偶者と兄弟姉妹」の場合、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4
なお、法定相続分とは遺産分割の目安として定められているもので、法定相続人の全員が納得すれば相続割合を変えても構いません。
アイユーコンサルティングでは、相続に関する相談が初回無料で受けられます。初回は相談内容を伺うことが主になるため、特に準備は必要ありません。WEB相談も実施していますので、ぜひお気軽にご参加ください。
石塚 由紀 税理士
大学院卒業後、2009年に国内大手税理士法人の東京本社に入社し、26歳で税理士資格を取得。2011年には同税理士法人の福岡事務所に異動し、相続税申告、事業承継コンサルティング、上場企業対応、国際税務等、幅広い業務を経験し、セミナー講師や共著出版なども行う。 2016年に税理士法人アイユーコンサルティングに参画し、強みである資産税の知識を活かして相続・事業承継を中心としたコンサルティングを行う。ご家族の想いを第一に、遺産分割や生前対策のアドバイス、組織再編のご提案などお客様に満足いただける付加価値の高いサービスを提供。 2018年に娘を出産し、現在は仕事と子育ての両立に奮闘中。より広い視野をもち、信頼できる親しみやすい税理士を目指している。
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