相続財産(遺産) | 相続人 | 問題点 |
---|---|---|
全財産 | 妻 子供4人 |
1.夫が「妻に全財産を相続させる」という手書きの遺言書(自筆証書遺言)を残した 2.子供が4人いるが、あまり仲が良くなく財産分けで揉めそう 3.子供が揉めずに財産分けをするのであれば、妻は遺言を無視するとのこと |
事例ケース
このケースの解決事例
有効な遺言書があっても、それに従わなくても問題は無いのでしょうか?この点、遺言書の内容によっては遺産分割協議が可能とされ、以下の①~③の条件を満たしている必要があります。
① 被相続人が、遺言書で遺産分割協議を禁止していないこと。
② 相続人全員及び受遺者が遺言の存在と内容を知った上で、遺言と異なる遺産分割協議をしていること。
③ 遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者の同意があること。
実は、「相続させる」旨の遺言がある場合、遺産分割協議の余地は無いという最高裁の判決があります。
ただし、当該判決後の下級審判例では、上記最高裁判決は「迅速で妥当な紛争解決を図るという趣旨から、これ(遺産分割協議等)を不要としたのであって、相続人間において、遺言と異なる遺産分割協議をすることが一切できず、その遺産分割を無効とする趣旨まで包含していると解することはできない」と判示しています(括弧書きは筆者)。
実務上は、相続人全員が合意した場合、それに対して訴える人がいないため問題が生じず、また、遺言者の通常の意思(相続をめぐって相続人間に無用な紛争が生ずることを避ける)にも反しないため、遺言書があっても、相続人全員で遺産分割協議ができる場合はあると考えられます。