相続税は、富の再分配機能の回復を図り格差を是正する目的で、課税が強化される方針が示され、2013(平成25)年度に改正案が可決・成立しました。これにより、2015年(平成25年)1月1日以後の相続は基礎控除額、相続人一人当たりの控除額が従来の6割程度に引き下げられています。
また、相続時精算課税制度においては、2013年(平成25年)の税制改正で対象範囲が拡充されました。さらに、民法改正に伴い、2022年(令和4年)4月1日贈与を受ける者の対象年齢が20歳から18歳へ引き下げられました。
相続税・贈与税の改正情報
2013(平成25)年度税制改正で成立した改正相続税法の主な内容
◆基礎控除の引き下げ
基礎控除が4割縮小 基礎控除は「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられました。
法定相続人数 | 現行 | 改正後 |
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相続人1人 | 6,000万円 | 3,600万円 |
相続人2人 | 7,000万円 | 4,200万円 |
相続人3人 | 8,000万円 | 4,800万円 |
相続人4人 | 9,000万円 | 5,400万円 |
◆最高税率の引き上げ
最高税率が50%から55%に引上げられました。
税率区分が6段階から8段階に細分化されました。
現行 | 改正後 | ||||
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相続税の課税標準 | 税率 | 控除 | 相続税の課税標準 | 税率 | 控除 |
1,000万円以下 | 10% | – | 1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 | 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 | 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 | 1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 | 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 50% | 4,700万円 | 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 | |||
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
◆相続時精算課税制度適用の場合の贈与者の年齢要件の引き下げ
相続税法改正により対象範囲が広がっています。
要件 | 改正前 | 改正後 | 2022(令和4)年4月1日 ~2023(令和5)年 |
2024(令和6)年 ~現在 |
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贈与税(増産をあげる人) | 65歳以上 | 60歳以上 | 変更なし | 変更なし |
受贈者(財産をもらう人) | 20歳以上の子 子が亡くなっている場合は20歳以上の孫でもよい |
20歳以上の子 20歳以上の孫 |
18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人または孫 | |
基礎控除額 | なし | なし | なし | 110万円 |
【参考:弊社ブログ】
・贈与加算期間の見直し
→2023年度税制改正で贈与加算期間が延長!
・令和6年度以降の贈与
→令和6年度以降の贈与について
・相続時精算課税制度・基礎控除創設
→相続時精算課税制度が改正!気になる改正内容とは?