相続税の申告は、相続や遺贈によって財産を取得した人で、遺産の総額(課税価格の合計額)が基礎控除額を超えている場合や、配偶者に対する税額軽減の特例を受ける場合などに必要になります。
相続税の申告と納税
誰が、いつ、どこに申告するのか
◆誰が?
相続によって財産を取得した人が申告を行います。相続人が2人以上いる場合は、1通の申告書に財産を取得した人全員が署名・捺印し、その下に各自の納税額を記載します。
◆いつ?
相続税は被相続人の死亡日の翌日から10カ月以内に収めなければなりません。納付は相続人全員がまとめて行う必要はなく、それぞれが申告に基づいて個別に行えば良いことになっています。
原則金銭で納付することになっていますが、相続した財産が土地や建物などの不動産が殆どだった場合、どうしても現金で一括して納めるのが難しいという場合もあります。このため相続税は、税額を分割して、年賦の方法によって納める「延納(※)」という制度が設けられています。
◆どこに?
→申告書の提出先
被相続人が死亡したときに居住していた住所地を管轄する税務署になります。
財産を相続した人の住所地ではないので注意してください。
→相続税の納付先
税務署や最寄の銀行、郵便局の窓口で納めることができます。
相続税の延納について
相続税の納期期限までに管轄の税務署に「延納申請書」を提出し、すべての条件を満たしていると確認できれば延納が認められます。担保を提供する必要があるときには、担保の内容に関する書類の添付も必要です。
〔延納の条件〕
- 申請書及び担保提供関係書類を期限までに提出すること
- 相続税額が10万円を超えていること
- 金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること
- 延納税額に相当する担保を提供すること
- 担保として認められるもの(国債、地方債、社債、その他の有価証券、土地、建物、立木、自動車、船舶、機械、財団など)
※延納税額が100万円未満・延納期間が3年以下の場合は担保は不要。
〔延納期限と利子税率〕
延納できる期間は、原則5年以内です。
また利子税の割合は、原則として、相続財産の中の不動産等が占める割合や延納期間によって、年3.6%~年6.0%となっています。
相続財産の中の不動産等が占める割合が50%以上の場合
区分 | 分納税額(最高) | 延納期限 (最高) |
利子税(%) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
原則 | 特例 適用後 |
|||||
課税相続財産に占める不動産等の価額の50%以上の場合 | 不動産等にかかるもの(1,2,3を除く) | 年賦均等額 | 15年 | 3.6 | 2.1 | |
1. 課税相続財産に占める不動産等の価額が75%以上の場合 | 20年 | |||||
2. 緑地保全地区、歴史的風土特別保存地区等の土地にかかるもの | 15年 | |||||
3. 計画伐採立木の価格が課税相続の20%以上の場合 | 森林施業計画対象立木にかかるもの | 年賦均等額と立木の伐採時期等に応じた不均等額の選択 | 20年 | 1.2 | 0.7 | |
特定森林施業計画対象立木にかかるもの | 40年 | |||||
その他の財産にかかるもの | 年賦均等額 | 10年 | 5.4 | 3.1 |
相続財産の中の不動産等が占める割合が50%未満の場合
区分 | 分納税額(最高) | 延納期限 (最高) |
利子税(%) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
原則 | 特例適用後 | |||||
課税相続財産に占める不動産等の価額の50%未満の場合 | 立木にかかるもの | 立木の価額が課税相続財産の価額の30%を超える場合 | 年賦均等額 | 5年 | 4.8 | 2.8 |
計画伐採立木の価額が課税相続財産の価額の20%以上の場合の森林施業計画対象立木にかかるもの | 年賦均等額と立木の伐採時期等に応じた不均等額の選択 | 1.2 | 0.7 | |||
緑地保全地区、歴史的風土特別保存地区等の土地にかかるもの | 年賦均等額 | 4.2 | 2.4 | |||
その他の財産にかかるもの | 6.0 | 3.5 |
申告書の書き方
相続税の申告書を作成するには記入する順番が決まっており、それに従って必要事項を記載していくことになります。
申告書の主な様式と記入順序
順序 | 様式 | 内容 |
1 | 第9表 | 生命保険金などの明細書 |
2 | 第10表 | 退職手当金などの明細書 |
3 | 第11表の付表 | 小規模宅地等にかかる課税価格の計算明細書 |
第11表の2表 | 相続時精算課税適用財産の明細書 相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書 |
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4 | 第11表 | 相続税がかかる財産の明細書 |
5 | 第12表 | 納税猶予の適用を受ける特例農地等の明細書 |
6 | 第13表 | 債務整理及び葬式費用の明細書 |
7 | 第14表 | 純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び、特定贈与財産価額・公益法人などに遺贈した財産・特定の公益法人などに寄付した相続財産・特定公益託のために支出した相続財産の明細書 |
8 | 第15表・第15表続 | 相続財産の種類別価額表 |
9 | 第4表 | 相続税額の加算金額の計算書 暦年課税分の贈与税額控除額の計算書 |
10 | 第5表 | 配偶者の税額軽減額の計算書 |
11 | 第6表 | 未成年者控除額・障害者控除額の計算書 |
12 | 第7表 | 相次相続控除額の計算書 |
13 | 第8表 | 外国税控除額・農地等納税猶予税額の計算書 |
14 | 第1表・第1表続 | 相続税の申告書 |
15 | 第2表 | 相続税の総額の計算書 |
16 | 第3表 | 財産を取得した人のうちに農業相続人がいる場合の、各人の算出税額の計算書 |
→相続税の申告書等の様式一覧
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